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愛兎



愛しの兎が、後ろ足を引き摺って苦しそうにしている。
もうそんな長くない。相変わらず野菜や草が大好きな君。手渡すと必ず食べてくれる。

日曜日の午前6時半。全く眠れなかった。
一睡もせずリビングへ下りた。じっとりとした目で伸びている兎。
窓から東陽が差して愛兎を照らす。映画のワンシーンみたいに。
輝いた愛兎。可哀想だ、と思ってしまった。太陽に照らされた君を見たのが本当に久しくて。
涙が溢れてきた。

日曜日の午前6時半。あまりにも爽やかな朝がやってきた。
鳥たちが囀っている。君は苦しいけれど、鳥たちは自由。

森の中、草木に見守られ天国へ昇る一羽の兎が思い描かれた。
ほんの一瞬のうち。それは決して悲しい光景ではない筈だ。
鳥の囀りが、突然に暗転した画面と共にぱったりと鳴り止むように、
君はそう遠くないその日、初めての冒険に出るんだろうな。
悲しんじゃいけない。別に生きている君を見て死を悟ることに罪悪を感じているのではない。
寧ろそうやって美しいスクリーンの中で、君が優しく導かれていく姿を見ていたい。
この世で一番仲良しだった君の最後の幸せを、一緒に嚙みしめさせてはくれまいか。

愛兎よ、僕の青春を全て見て知ってくれている愛兎よ。
死を案ずるな。美味しいものをたらふく食べてほしい。
草や水でその身体を満たし、自然の神秘へ還るがいい。


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ムシPです。
不思議でお洒落な音楽が好きで、専らそういうものを制作しています。何にでも興味を持ちます。宜しくお願いします。

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